頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ)

ミスドで読了。
タイトルの「頭のいい人が〜」の部分は、まあ半分キャッチのための釣りというか。ここで使われてる「頭のいい人」は「学校の成績から見て頭のいい人」という意味。どこの世界でも「学校の成績が良くても実社会では云々」なんて散々あちこちで叩かれて一周回って錆が浮いたりしてるので、このタイトル見た人は、すぐに「ああ、たぶんあんなことを書いてるんだろうな」と何かしら予想できてるかもしれません。実際、この点についてはそれほど目新しいことは書いてないように思います。*1

ともあれ、じゃあ本書は何の本なのか? ということで、「まえがき」より抜粋。

 あふれる情報の波にさらされ、しかも、強迫観念から自らの情報収集行為をやめられず、未消化で雑多な情報の海に飲み込まれ、おぼれて窒息死寸前の人々。
 当たり前のことだが、そんなふうに受け身に情報を受け取るだけでは、まるでアウトプットに活用できない。何年も何十年もかけて溜め込んだスクラップ・ブックなど、読み返されることはないだろう。
(中略)
 そんな状況を打破するのが本書である。
 本書を読むことで、情報の洪水の中をいくらかうまく泳いで、脱出できる力が増すのは間違いない。

…ということでした。
スクラップ・ブックといえば、先日読んだ外山滋比古さんの「思考の整理学 (ちくま文庫)」がスクラップブックの重要性について一章使ってました。ん?アレとコレは逆のこと言ってないか?と思いましたが、家に帰って読み直してみたらそうでもありませんでした。外山さんも、古くなって価値が見出せなくなったスクラップはとっとと捨てて身軽になりなさい、とのことでした。
ついでに、逆といえば、勝間和代さんが「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」で言ってることとも違う気がするなあ…と思ってこれも家で読み直してみたら、これまたそうでもありませんでした。勝間さんは、情報を能動的に管理して、情報を価値に変えていこう、と言ってました。*2
どんだけ適当に読んでるんですか俺という感じです。しょんぼり。…まあ、本田直之さんは「レバレッジ・リーディング」で、本の内容なんて16%覚えてればいーんだよ、みたいなことを言ってたし、これでいいのだ!(と、全部他人の言ったことで話をまとめてみた)
話は戻って、今北産業的に面白かったところをまとめると、こんな感じです。
・何をするか(what)で迷うな。どうするか(how)で迷え。でも目的は明確にしろ。
・調べるのもいいけど、まず自分の頭で考えろ。これ以上ないってくらい考えぬけ。
・ゴールが100m先か42.195km先かで走り方が変わるように(この例えが重要)、目的によってとるべき戦略は異なる。
ところで、ここ数ヶ月であれこれ読んで思いましたが、この本を含め、とりあえずほとんどの人が、やり方は違えど「自分の頭で考えろ。よく考えろ。現実を見ろ。常識とか先入観抜きでよく見ろ。あと本を読め。何でも読め。目的を持て。具体的に持て。仕事だけの人間になるな。人脈作る前にお前の中身をなんとかしろ。」ってことを異口同音に言ってる気がしてきました。わかったわかった。やるよ。俺はやるよ。…何かを。(主にコーヒーを飲んで本を読むことを)))

頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ)

頭のいい人が儲からない理由 (講談社BIZ)

*1:それにしても、世の中はこういった話の反動で「ゆとり教育」をやり、そのまた反動で「詰め込み教育」に戻れと言い出し、いや問題はそこじゃねーよ、ていうか教師も親もまとめてダメってどういうことよ!みたいな喧々諤々があるわけですが、俺の感覚では、子供たちを学校でサバイバルさせてるうちは何やっても同じです。うまく言えませんが、少なくとも「学校ごっこ」しかできない/知らない教育委員会・教師・親・生徒たちでは、その先はない気がします。個性を重んじても、教科書の知識の徹底を図っても、ほとんどの子供たちは社会にとって「社会を維持でき、しかも取替えの利く誰か」より上の存在にはなりません。そこで、「そうだ、それじゃダメだ。こういう世の中に漂う諸々の閉塞感をぶっ壊す人間が欲しい」という人もいます。でも、それもちょっと考えなければいけません。ぶっ壊したって、それで俺らの生活が困ったら意味ないんです。ベストではなくとも、今よりもベターな社会を作るビジョンを描くことができて、そのために必要なプロセスとして、リスクを負ってでも今の社会を壊す、って手段があるのです。難しいのは、少なくとも義務教育は社会を維持するために存在するので、現行の社会システムを壊して作り変えるような人材は作れない、というか作らないことです。企業にしても、自分の会社を壊して、かつ作り変えるような人材を育てるようなことはなかなかできません。なんだかんだでみんな自分の世界を守るので精一杯なんだよ!そのうえひどい怠け者だ!俺もお前も!ファック!…って長いよこの注。

*2:ただし、彼女の話の前提は、そもそも現代人は自分で言うほど情報洪水にまみれてないんじゃね?というものなので、その点では本書とは認識が違ってます。