いつものサトケン節。マンネリ?それでも面白い。『小説 フランス革命 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』

小説フランス革命 1 革命のライオン (集英社文庫)

小説フランス革命 1 革命のライオン (集英社文庫)

小説フランス革命 2 パリの蜂起 (集英社文庫)

小説フランス革命 2 パリの蜂起 (集英社文庫)

小説フランス革命 3 バスティーユの陥落 (集英社文庫)

小説フランス革命 3 バスティーユの陥落 (集英社文庫)


ハードカバーで出ていたのを買おうと思っているうちに躊躇しているうちに文庫版になっていたのでえいやっと買った(子供か)。毎月刊行だそうで。


佐藤賢一は好きな小説家の一人だが、文体というのか言い回しというのか、毎回毎ページ同じパターンすぎてだんだん鼻にというか目について、『剣闘士スパルタクス (中公文庫)』で挫折して以来、しばらく読むのをやめていた。


ので、久しぶりのサトケンである。
でもちょっと怖かったので1巻だけとりあえず購入。


半分くらい読んでの感想は予想通りの…あまりに予想通りのサトケン節。
「ああ、」「はん、」「なんとなれば、」「つまりは、」「というのも、」「いうまでもなく、」「すでにして、」「〜〜を〜〜しながら〜〜すれば、すでにして〜〜であった」…最後のはわかりにくいか。いや、というか、文章に頻出しすぎてうんざりした語句を実際にこうして並べてみると、自分が無理にイチャモンつけてるだけにしか見えない。…イチャモンなのかもしれない。
ちなみに登場人物の性格や口調もこれもおなじみのスターシステムっぷり。特に女性の引き出しのなさはなんとかならんとですか…


…と、いきなりそう書いておいて、しかしケチをつけるのは本当にそこだけ、で、内容はというと、 た い へ ん 面白かった。


舞台は1789年のフランス王国
王国は破綻の危機に瀕し、そのうえ大凶作による飢饉と物価の高騰によって民衆の怒りは頂点に達していた。
国王ルイ16世は聖職者・貴族・平民の代表による全国三部会を招集し、事態を打開しようと試みる。


そこに現れたのは貴族の生まれながら破天荒な前半生を経て平民の絶大な支持を得、平民枠から議員となり議会に乗り込んだ野心の男、ミラボー。そして国王を敬愛し、フランスを救う志をもって議員となった孤児あがりの天才弁護士、ロベスピエール


それぞれの成り行きは違えど、「フランスを変えてみせる」という想いを胸に、彼らは全国三部会に乗り込む。しかしそこには、彼らが想像だにしない困難が待ち受けていた…(以上、文庫版裏表紙のあらすじ風に書いてみた)


前半は前述のマンネリ文体に若干うんざりしながら読んでいたが、中盤からぐんぐん引き込まれ、1巻読み終わって翌日には2・3巻を買っていた。


恥ずかしながら歴史の勉強をあまりしてこなかった身なので、史実としてのフランス革命や、あるいは既にあるフランス革命を扱った小説と比べてどうと言うことはできないが、予備知識がまったくなくとも、とても面白く読めた。


続きが楽しみ。