第58期王座戦第一局を観戦した。

中継サイト http://live.shogi.or.jp/ouza/


終盤から観戦。
手羽生王座、後手藤井九段。
戦型は後手の角交換型振り飛車
角交換後の△35歩が後手工夫の進行だったが、局面はおおむね先手優勢で進み、即詰みのある状態まで指した時点で藤井九段の投了になった。


自分はtwitter上での実況を見ながらの観戦だったが、棋譜の内容については、特によく指せる人からの評判が良くなかったように思う。
実際、2〜4筋の攻防のあと、見渡せば玉の堅さが違いすぎるうえに、素人目にだが、後手からの攻め手の選択肢がなさすぎるように見えた。
終盤、両者の持ち時間は1時間以上の差があった。藤井九段は分将棋に突入。それでも藤井九段は粘り強く指したが、圧倒的な時間を残してその苦心の手に応じる相手は、あの羽生王座、しかも“今期タイトル戦10連勝”の絶好調の羽生王座。事件は起こらなかった。もちろんファンとしては、事件でもなんでも、起こるものは起こってほしかった。


「藤井の後手番の戦法が怪しい」とは以前からちらほらとどこそこで聞く話だったが、そういった人々の不安(指摘)が的中した格好ではある。


…ともあれ、盤の前に座ればいつか後手番が回ってくるのだから、何か指すしかない。角交換型振り飛車は藤井九段の後手番主戦法、とまでは言えないが、鰻屋のメニューの一覧には載っていて、それなりに注文があり、勝ったり負けたりしている。


個人的には、この戦型を選んだ時の藤井九段の負け局で、よく左銀が2〜3筋で立ち往生してるのが気になって仕方ない。藤井九段だけでなくこの戦型特有の問題なのかもしれないけれど。
ともあれ、シンプルな捌きあいよりも、盤面全体で駒がぶつかるような将棋のほうが、藤井九段の将棋らしいようにも思う。システム然り、矢倉然り。


しかし、将棋の内容の話とは別にもう一つ個人的に、藤井先生が羽生王座相手に、劣勢の将棋を粘り強く指し続けたことを喜びたい。
「負け戦を喜ぶとは何事だ」という話も当然あるだろうが、自分には今期竜王戦の藤井羽生戦(棋譜こちら)での藤井九段の早すぎる投了がどうしても心に残っていて、せめて今回は折れずに指してほしい、話はそれからだ、という想いがあったので。


それに藤井ファンの応援・熱狂振りも相変わらず素晴らしかった。ネタと悲鳴の飛び交う阿鼻叫喚タイムラインだった気もするけど。


…で。
後手番戦法の件は、まあ何を言っても結局準備するのは藤井先生なので、もうファン的にはひたすら無駄にやきもきしてみたり、「あーすればいいんじゃないか」「こーすればいいんじゃないか」とか想像してみたり、諦観してみたりすればよいのである。うぐぐ。とにかく藤井先生を信じるしかない。おいそこのゴキゲン中飛車に並んでる奴ら!先頭を藤井に譲れ!(暴言)*1


とりあえず今日のところは、棋譜コメントの77手目感想戦部分を見て次局観戦・応援のエネルギーとしたい。

※「熱い。もう一番!」(藤井)


藤井先生、たいへんおつかれさまでした。羽生先生、勝利おめでとうございます。
次局も楽しみにしています。

*1:そして先頭に行ってみたら「げえっ!超速3七銀!」