自分探しが止まらない (SB新書)

燃料はマクドナルドのメガテリヤキバリューセット。ドリンクはコーヒー。
「自分探し」の起源、変遷、現在について取り上げた本。
自己啓発もの、外こもり、スピリチュアル、貧乏旅行、ボランティア活動、路上詩人、共同出版ビジネス、自然志向、GTDなどのライフハック、「感動体験」を売りにする企業などなどについて、これらを自分探しの一種としてそのルーツから説明します。
自分探しをする人々の共通した特徴は、「ありのままの自分」とか「本当の自分」を重視することです。そのため、彼らは自分を変えるのではなく環境を変えることが大事だと思っています。
それだけ聞くと「なんだ、ただの自己中じゃん」という気もします。
しかし作者は、個人が自分で考え、自分で選択し、自分で責任を負うことを社会的に強く求められるようになったことが背景にある、と考察します。
ここで問題視されているのは、そういった自分探しをする人々を囲い込み、食い物にするビジネス=「自分探しホイホイ」です。
自分も最近自己啓発に近い内容の本やライフハック本、勉強本をよく読むので、ちょっと耳が痛い話です。(一応弁解すると、俺は自分探しへの欲求は少なくとも意識的にはなくて、今後世の中でサバイバルできるようになりたいがために、そのツールとしてのライフハックなり勉強なりをしている、つもりです。)
とはいえ、作者は自分探しやポジティブシンキング自体を否定する気はないそうで、本書はあくまで問題提起がメインです。
実際あれこれ考えることがあり、よい本でした。
総合評価:★★★★☆


追記:
自分探しは自分宗教ともいうべきもので、新宗教の性格とあわせて考えるとなお面白いように思います。
新宗教についての本「日本の10大新宗教」のエントリはこちら。
http://d.hatena.ne.jp/retuner640/20080227/1204125868

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)