第68期名人戦七番勝負第1局の感想とか

公式中継サイトはこちら。http://www.meijinsen.jp/


振り駒の結果、挑戦者三浦八段が先手。
戦型はYO☆KO☆FU☆DO☆RI。横歩取り。表記に深い意味は無いです。


7・8筋の先手の攻め(41手目から封じ手のあたり)がどうもいい感じに見えて、「この調子でちまちまと先手がポイントを取り続ける展開かなー」と思っていた。5五に馬まで作れたし。
対して、直後に後手羽生名人が放った△7六角は意味がまったくわからず、棋譜の解説を読んでようやく理解。おお、飛車素抜きの筋があるのか。すごいなー。
で、「まー飛車を素抜けたからって必ずしも後手が有利ってわけでもないんだよねー」という解説で二度驚く。マジか。いわれてみると、実現するのはあくまで飛車角交換で駒の損得はほとんど無いし、先手の陣形も飛車に特別弱いというわけでもない(強くもないが)。


そこからは指し手の一手一手がとても濃く、たいへん面白かった。
先手が攻め駒を単純に足していく数の攻めで、見た目わりと分かりやすい指し手だったのに対して、後手は駒を取ると見せかけて受けを誘い、その受けで玉を狭くさせてから詰めろをかけるという、ちょっと分かりにくい指し回し*1。互いに「自分が優勢の時は局面を単純化させる」「自分が劣勢の時は局面を複雑化させる」を実地でやってるんだなあと思いながら見ていた。
形勢は先手寄りの声が続いていたが、後手の手もつねに厳しく、何かあったらすぐにひっくり返りそうな雰囲気。
そして運命の▲3四桂。
両取りで厳しいように見えるが、先に△4九龍の王手が飛んでくる。合駒もできないから逃げるしかない。さっき打った3四の桂も抜かれて、逆転してしまった。
将棋怖いよ。そして面白い。


この対局のとき中継サイトでアップされていた動画の感想も少し。
動画は以下のページで。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/mylst/srt_new/uid_0000008951/pgcnf_9/1.htm


渡辺竜王の動画。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_100409297761_1.htm
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_100409297784_1.htm など。
……全体的にでかい。
顔が。
いや、渡辺先生の顔そのものがでかいんじゃないんだ。
画面の3分の1が竜王の顔なんだよ。そんで頭頂部からアゴまでできっちり画面の上下を占有してるんですよ……
まあ、いい笑顔だったから俺の中の何かが救われましたが……
次はもしよろしければ、バストアップくらいの間合いでお願いしますw>スタッフの方


次。
愉快なブログと愉快なテレビ出演で一躍話題の人になった佐藤紳哉六段の動画。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_100409297749_1.htm
なんかテンションが低い。たぶんこの日は芸能人モードじゃなかったんだな。いや、単に前日飲み過ぎて二日酔い気味だったとか?……という勝手な俺の想像。
ちなみに、大盤解説会で生で見たサトシン先生は、明るくユーモアたっぷりでお客さんをよく気遣ってくれる素敵な方でした。


次。
棋士の中で最も旨い米を作れる棋士として有名な(すみません半分捏造しました)戸辺六段の動画。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_100409297738_1.htm
誠実そうです。なんなんだこの「きちんといい人」なオーラは。好きです。
そしてインタビュアーがさりげなく「羽生にも三浦にも勝ったことのある戸辺」をアピール。あざとい。でも好きです。
あと昇級おめでとうございます。


その他。
前夜祭の様子はうちのPCのスピーカーがよくないのか、トークがあまり聞き取れなくて残念。まあ斎田先生の声が聞けたのでよしとする。飯島六段の検討解説がわかりやすくてよかった。二日目16時の検討で「飛車を詰ますゲームか」というトークにふと笑ってしまった。などなど。


第二局は4月20・21日、岩手県遠野にて。
遠野か、いいなあ。
いいなあ。


おわる。

*1:「曲線的」という言葉を自分の棋力で使うのはどうかという気もするのでこういう表現