電気コタツを処分した話:俺は商売には向いてないのかもしれないし、そうでないかもしれない。

部屋にあるOAデスクとOAチェアと電気コタツを処分したくなった。片付けのついでに、もっとコンパクトなやつに代えたいと思ったためだ。以下、その顛末。ちょっと長い。そして事実をだらだら書く感じのいつもの俺文章。

昨日の午前:選択肢を考える/リサイクル業者に見積を依頼する/ヤフオクの相場を調べる

とりあえず処分の選択肢を考えた。

  1. リサイクル業者に買取してもらう。
  2. ネットオークションに出す。
  3. フリーマーケットに出品する。
  4. 役所の不用品交換コーナーに応募する。
  5. 友人に譲る(欲しがるヤツがいれば)。
  6. 地域の廃品回収に出す。

廃品回収はリサイクル料を取られるので、最後の手段と考えた。とりあえずリサイクル業者に買取見積を頼んだ。結果、以下のような回答を得た。

  • A社:デスク…約5,000円の引取手数料が必要。チェア…約1,000円で買取。コタツ…約2,000円の引取手数料が必要。
  • B社:買取不可。
  • C社:買取不可。

ということで散々だった。デスクとコタツは元々の取得価格が低い上、使用期間も8年と長すぎたので、まあ仕方ないと思った。でもチェアは去年の夏に買って2万円弱だったんだよなあ。それが1,000円。しょんぼり。
業者からの回答を待つ間に、オークションに出品することを考え、ヤフオクで相場を下調べした。型や年式から類似の商品を検索してみると、人気が有るのは以下のような価格帯だった。

  • OAデスク:0円〜 自分のものより高価で新しいデスクですらそうだ。オフィスから処分品が大量に出回るせいだろう。
  • OAチェア:ショップが出している新品が16,800円。でも件数は多いが入札気配なし。中古は見当たらず。
  • 電気コタツ:0〜500円。一人暮らしの処分品が大量に出品されている。

リサイクル業者の見積と合わせて考えると、デスクは誰も欲しがらず、むしろ廃棄料を要求される。チェアは値段がつくにはつく。だが人気が無いため高価はまったく期待できない。コタツも値段のつく可能性がある。だがワンコインがせいぜいだ。そしてどのアイテムについても言えるが、送料が1,500円以上になり(ヤマト運輸の場合)、これを着払いにした場合、買い手にとって思った以上に割高な買い物になってしまう。そこまでしてオクで買いたいか?と言われると微妙だろう。もちろん送料を出品者負担にしたらこちらが損するため論外。
業者よりはオクの方が手取りが増える。とはいえ、それでもこんなもんらしい。

昨日の午後:役場の不用品交換掲示板を利用する

業者にメールを出しヤフオクをチェックしてるうちに昼が過ぎた。
とりあえず買い物のために外出。ついでに役所に寄って不用品交換の掲示板を眺めてみる。
…すると、その中に一人用の電気コタツが欲しいという張り紙を発見した。しかも応募者の住所は俺んちの超・近所。歩いていける。なんという偶然!
希望価格は「0円〜格安で」とだけある。ううむ。とりあえず張り紙の画像を写メに保存し、夕方を待って(相手が仕事をしてる場合を考えた)、そこに書いてあった連絡先に電話をした。
この直前、俺はちょっとメモを使って頭の中を整理した。とりあえず値段をいくらにするか、ということだ。最初、ヤフオクの500円でいこうと思ったが、倍の1,000円とした。役場の交換コーナーを使うような人だ、たぶんヤフオクを使わないタイプの人だろう。だから通ると踏んだ。それと、車などが無いので宅急便でと言われたら、俺が直接持っていくからその分値上げしてくれとお願いすることにした。だって同一地域でも配達料金1,500円かかるんだぜ?中古のコタツに合計2,500円なんて嫌だろう。だから俺が持っていくかわりに2,000円でどうだ、と言う。…実際は、オクに出してもワンコインで売れるか怪しく、ましてや業者に買い取らせると逆に2,000円ふんだくられる、まさに不用品なんだけど。
電話には年配らしき方が出た。張り紙の文字が達筆だったので、なんとなくそんな気はしていた。本体価格の交渉はあっさり俺の希望で通った。ただ、車が無いらしい。実は近所なんですと言ったら、じゃあ明日歩いて取りに行くからと返答された。とりあえず異論なし。
その後リサイクル業者のC社から買取不可の連絡。ちなみに全部の会社に「素早いお返事ありがとうございます」と返信を打っておいた。

今日の午前:コタツの引渡し

午前9時に電話すると言われたのに、8時半に電話が鳴った。お年寄りは朝が早い。俺はまだのんびり飯を食っていた。とりあえず目印を教え、自分も近くまで迎えに行くことにした。
会ってみると好々爺という言葉がぴったりな人だった。非常に物腰が丁寧で、歩みがしっかりしていて、態度も威張ったところや弱弱しいところがない。お互いに身の上を話しながら、俺のアパートまで案内する。
来てもらってすぐ帰らせるのもなんだか悪いので、茶でも出そうかなと思いつつ玄関を開けると、「ここで結構です。すぐ見せていただけますか」とのこと。ならばと部屋からコタツを持ってくる。
「こんな状態ですが、いかがですか」
「自分の使ったのに比べたらずいぶん新しい。たいへんよろしいです」
この方は20年近く一つのコタツを使い続けていたそうだ。
で、運んでるときに今更ながらに気付いた。天板とコタツ本体は別々なので、大きさ的に二人使うか二往復が必要。…運搬先もここから徒歩10分程度のところだし、いいやと思い、片方の運搬を申し出る。最初のプランにあったようなお代は要求しない。
二人でコタツと天板を分担して持ち、ご老人のアパートに向かった。道中再びお互いの話。どうやらこの方は某大手自動車メーカーで免許の教官をしていたらしい。やたら言葉がはきはきしてたのはそのせいか。
で、彼が全盛だった頃の日本の企業風土なんかを聞きつつ目的地に到着。今はアパートで悠々一人暮らしという話だったけど、
…すごく…ボロいです…
家賃が俺のアパートの半分以下といってもこれはひどいだろう。たぶんネットも引かれてないぞ。
という詮索はもちろん顔には出さず、玄関の手前にコタツを置いて、代金を受け取ってその場を辞した。ご老人は別れ際、俺の行動の一つ一つにお礼を言ってくれた。

午前9時40分帰宅。戻ってから収支を計算してみたが、とりあえず儲かってるよな?と思いつつ現金収入は1,000円だけなのでなんとも複雑な気分。でも引取手数料2,000円をとられるよりは遥かにマシだし、ヤフオクでいつ買い手がつくとも知らない500円のためにオクの手続きをしてあれこれ書く時間を割くよりもまだマシ、のはず。相手だってトータルの出費で見たら俺と取引して良かったはずだ。
まあ、かかった手間ひまの時間も振り返ると、やっぱ普通に仕事したほうがいいなあという当たり前気味の結論になったりする。でも、色々考えて調べてこういうやりとりするのは楽しいね。またいつかどこかで。

OAデスクとOAチェアはどうすんの?

…部屋の真ん中に居座ってたコタツをどけたら、こいつらが快適に使えるようになったので処分する意味がなくなりました。よかったよかった。