「アイドルマスター」のアイドルたちは今日本で最も成功しつつあるヴァーチャルアイドルだと思うんだけど、お前らどう思う？
まず先に言っておくと、俺はきちんと考えを詰めないでこのエントリを書いています。
その理由は二つあります。
- ブログの記事は思ったときに書くに限るから。煮詰める時間より新鮮さを優先しました。
- 検索するのがちょっとめんどくさいから。類似の、よりすぐれたエントリが他所にあるかもしれませんが、それを調べるのは後でもできると思いました。
以上了解のうえ、お読みください。読みづらかったりするのはごめんなさい。後で直します。（2008/3/26追記：いろいろ直しました。しかし、気になり始めるときりがないくらい説明が穴だらけなので、直しをあきらめた部分もあります。再度ご了承くださいませ）
…ですます調で書くのがめんどいんで、以下、である調で書きます。
はじめに
このエントリの結論は、タイトルに書いたとおり。
以下の文章は、その結論に至った経緯とか背景などをそれっぽく書いたものだ。
段取り的にはこんな感じで。
- ヴァーチャルアイドルって何さ：要はデジタルデータ
- アイマス以前のヴァーチャルアイドルたちのこと：伊達杏子は仕事がない
- アイマスのアイドルたちのこと：「ファン＝プロデューサー」という新しい関係が無限の「お仕事」を生んだ
とりあえず、何をもって「成功」って呼んでるの？
アイドルの成功はファンの数だ、ととりあえず言い切っておこう。
特に、そのアイドルのコンサートやライブに行き、出演するテレビやラジオの番組を必ずチェックし、ＣＤやＤＶＤやその他グッズを買い（時には自作し）、アイドルやその周辺に関する感想や批評や妄想をブログや同人誌に書き、ファンのコミュニティに参加し（時には運営し）、その他、とにかく肉体的精神的経済的に彼女たちのことについて熱狂的になってくれるファンの数だ。
ヴァーチャルアイドルについても同様に、こんな物好き人々が多ければ、なんとなく成功してるんじゃないかなー、と思う。なんとなく。
…石投げないでください。
で、ヴァーチャルアイドルって何さ？
ウィキペディアの「ヴァーチャルアイドル」では、項目の冒頭で
バーチャルアイドル（Virtual Idol）とは、コンピュータグラフックス（主に3次元アニメーション）の手法で映像化されている、架空のアイドルである。
と説明されている。（項目全体としてはアニメのキャラクターなども含めた「ヴァーチャルキャラクター」もヴァーチャルアイドルの範疇として解説されている。）
で、ここからが俺の考え。
ウィキペディアの定義にあるように、ヴァーチャルアイドルは、その外見をＣＧによって作られている。声については今のところ俳優が当てているが、技術的には、そうでない可能性もある（VOCALOIDのように）。
ともあれ、重要なのは、ヴァーチャルであるということは、とりあえずデジタルデータとして存在しているということだ。
デジタルであるということは、彼女たちを、誰でも、容易に、無限に、複製や改変できることを意味する。そして、デジタルでありさえすれば、他のありとあらゆるデータと結合できる。
彼女たちがアイドルであることを考慮してそれにふさわしい言い方をすれば、彼女たちは、デジタルな世界に限り、無限に活躍の舞台を得ることができる。
アイマス以前のヴァーチャルアイドルたち
これまでも「ヴァーチャルアイドルの肩書きを冠するデータの塊」はたくさんプロデュースされてきた。たとえば先のウィキペディアの記事では、芸能事務所ホリプロの生み出した「伊達杏子」などが挙げられている。
けれど、彼女たちは、自分たちがデジタルな存在であることをうまく利用できていなかった。
たとえば伊達杏子は、彼女が所属するホリプロとその利害関係者の意思なくしては、メディアに出演できない。伊達杏子も現実のアイドル同様、彼女のマネージャーや事務所の営業が取ってくる（あるいは作る）お仕事を待たなければいけなかった。
※はてなソーシャルブックマークでのコメントに「ちゆ12歳」についての言及があったので追記すると、彼女も結局「中の人」のネタ待ちという点では伊達杏子と状況は大差がないように思う。
あと、みんなちゆそのものが好きなんじゃなくて、彼女の繰り出すきわどいネタが好（ｒｙ
アイマスのアイドルたち
アイマスのアイドルたちが先輩のヴァーチャルアイドルたちと違うのは、上で書いたような、誰でも、無限に、簡単に、複製と改変が許される環境（舞台）にその身を置けたことだ。この「誰でも」とは、アイドルのデータの最初の創造者であるバンダイナムコゲームスのみではなく、そのユーザたちを含む。
アイマスのアイドルたちが得た環境は、主に二種類ある。
一つは、彼女たちの出自であるゲームの「アイドルマスター」。
もう一つは、動画投稿サイト「ニコニコ動画」だ。
ゲーム「アイドルマスター」
そもそも「アイドルマスター」というコンテンツは、アーケードゲームとして生まれ、のちにXBOX360対応ゲームとして移植された。
ゲーム「アイドルマスター」のアイドルたちに仕事を与えるのは、ゲームのプレイヤーである「プロデューサー」たちだ。彼らは自由に衣装や曲を組み合わせ、ユニットを組み、レッスンを与え、ステージに向かわせることができる。もっと衣装が欲しいなら、追加のダウンロードコンテンツを購入できる。*1
ステージに立つためのオーディションはプレイヤー間のオンライン対戦に対応している。そのオーディションに勝ち抜いて出演したステージの映像や、その結果獲得したファン数も、常時オンラインのランキングで見ることが出来る。
だから、たとえばアイドル星井美希はオンライン上に同時に何百人も何千人も存在し、それぞれの星井美希がそれぞれのプロデューサーのお気に入りで、トップアイドルとしての成功のために彼らと苦楽を共にする（少なくともプロデューサーはそう感じる）。*2
アイドルのプロデュース会場としての「ニコニコ動画」
アイマスというコンテンツは、YoutubeやPodcast、ニコニコ動画といった動画投稿サイトや配信サービスに投稿された動画によって、さらに認知を広めた。
特に、ニコニコ動画の存在が大きかった。
ニコ動では視聴者が動画に自由にコメントをつけることができた。動画に流れるコメントは賞賛や非難、ツッコミや解説などでにぎわった。
すると、アイマスのアイドルたちにとっては、ニコ動は擬似的なコンサート会場であり、テレビの前のお茶の間であり、実況掲示板になった。
ここでも重要なのが、先ほどゲームのプレイヤーとして述べた「プロデューサー」の存在だ。彼らはゲームのキャプチャー映像だけでは飽き足らず、自分たちの望むように動画を編集した。その結果、アイマスのアイドルにゲーム以外の歌を歌わせたり、歴史ものの物語の登場人物にしたり、簿記講座の講師をさせたりする動画が生まれた。
要するに、プロデューサーたちはニコ動を使って、アイドルたちに様々な「お仕事」を与えたのだ。プロデューサーたちは同時に彼女たちのファンでもあったから、当然、彼らが望む「お仕事」を彼女たちに与えた。現実のアイドルのプロデューサーのように、自分の担当アイドルが視聴者からより人気を得るような仕事を与えるプロデューサーも現れた。
いまや、アイマス関連の動画はニコ動における一大勢力だ。
素朴なゲーム映像（ノーマルＰＶ、コミュ動画）にはじまり、ゲームのダンス映像とアイマス以外の曲を組み合わせたＰＶ風ＭＡＤ、アイマス映像を使った紙芝居（架空戦記、ノベルゲーム風動画、教養講座など）、アイマスのＢＧＭや音声を使ったリミックスやマッシュアップの音楽、手書きマンガやアニメ、それにアイマス動画の週刊・日刊ランキング動画などもある。
なかには「こんだけ元のゲーム映像を切り刻みまくって加工しまくるんだったら、一から作ったほうが早くね？」と思えるものも、少なからずある。実際に一から書いてアニメを作ってしまった人々もいる。意地の悪い人なら、「もうアイマスである必要すらないよね」とも言うだろう。
それでもこれらの動画は、どんな内容であれ、アイマスのアイドルたちの活躍が見たくて作られたものには違いない。あるいは、彼女たちを使って賞賛を得るために作られたものだ。
それがアイドルマスターの動画だと主張される限りにおいて、星井美希は星井美希だし、如月千早は如月千早だ。少なくとも視聴者はそう認識している。*3
というわけで
アイマスのアイドルたちは、いまやユーザ＝プロデューサー＝ファンの手によって何人も存在し、何通りも姿を変え、あらゆる舞台、あらゆる物語に出現できるし、そうなりつつある。
先輩のヴァーチャルアイドルたちだって同じことをできなくはなかっただろうが、彼女たちは少数のプロデューサー（つまり彼女たちの創造者たち）の手元に置かれ続けたことで、ファンを獲得する機会を逸してしまった。
アイマスのアイドルたちは、自分たちがデジタルな存在である利点をじゅうぶん活かし、彼女たちの魅力を引き出し様々な舞台に立たせてくれる多くのプロデューサーと、それを楽しみにしてくれるファンをたくさん手に入れた。
だから彼女たちはいま日本で、ヴァーチャルアイドルとして、最も成功しつつあると思う。
